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  ニュース     2019/07/11 08:53

中国:「NEV規制」新ルール案、クレジット厳格化 無料記事

 自動車メーカーに一定比率で新エネルギー車(NEV)の生産・販売を義務付ける環境規制(「NEV規制」)に関し、中国政府はルールの修正案をまとめた。19年に10%、20年に12%としていたNEV生産比率の目標は、21年で14%、22年で16%、23年で18%に設定。「毎年2%ずつ引き上げていく」とする市場予想と符合した。24年以降の目標値については、別途定めると説明している。
 工業和信息化部(工業情報化部)は9日、「『乗用車企業平均燃料消耗量とNEVクレジット並行管理弁法修正案』に関する意見募集稿の通知」を公布。NEV規制の達成度に応じて企業に付与する「クレジット」管理ルールの見直し内容を解説した。総じてNEVの生産拡大と性能向上を促すことをにらんだ修正となっている。
 最大の改正ポイントは、生産1台当たりに付与するクレジットの最大値引き下げと、付与条件の厳格化だ。例えば純電気乗用車(EV)の場合、生産1台当たりのクレジット最大値を現行の5.0ポイントから3.4ポイントに32%引き下げ。しかも最大値の付与条件となる航続距離を従来の「350km以上」から「500km以上」に43%修正した。航続距離の参考基準についても、従来のNEDC(新欧州ドライビング・サイクル)から中国独自の「CATC(China Automobile Testing Cycle)」に変更している。
 航続距離が短いEV乗用車への付与クレジットも削減。航続距離150kmの(標準型式)で1.3ポイントに引き下げ。150km未満の場合で1.0ポイントに統一した。航続距離150km以下のEVはNEV補助金の対象からの除外がすでに発表されているだけに、低航続距離EVに対するメーカー生産意欲は削がれる見込みだ。
 このほか、プラグインハイブリッド(PHV)の付与クレジットも調整。1台当たりそれぞれ2.0→1.6ポイントに20%引き下げた。一方、燃料電池車(FCV)については、獲得クレジットの最大値を5.0→6.0ポイントに20%引き上げ。FCV普及を強力に後押ししていく政府のスタンスを反映した。ただし付与要件は厳格化。最大値6.0ポイントを獲得するための条件に関し、電池最高出力を「75kW以上」に引き上げた。最高出力32kWの場合は、獲得クレジットが2.56ポイントに下がる。
 業界が注目するもう一つの改正ポイントは、獲得NEVクレジットを翌年以降に持ち越せるようにした点。内燃機車に限定した「企業平均燃費(CAFE)」の超過達成率が123%に到達することを条件に、19年に獲得したNEVクレジットのプラス分を翌年にそのまま持ち越すことを認めた。20年時点の保有クレジットについても、1回に限り50%の比率で翌年に持ち越し可能としている。
 修正案では、低燃費内燃機車の生産を奨励する方針も盛り込んだ。NEVクレジット比率目標値を設定する際の根拠としている内燃機車の生産・輸入実績に関し、低燃費内燃機車については生産・輸入台数を0.2倍で計算する仕組みを新たに追加する。
 19年から導入したNEV規制は、中国で年間3万台以上を生産・輸入する完成車メーカーが対象。中国での内燃機関車の生産や輸入量に応じ、NEVの生産実績で付与される「クレジット」を獲得するよう義務化した。未達成の場合は他社からクレジットを購入しなければならない。


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