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  ニュース     2020/03/30 18:59

中国:「代替骨材」利用促進ガイドライン、川砂の乱掘抑制へ 無料記事

 インフラ建設の重要原料となる「コンクリート用砂(骨材)」に関して、中国は代替材料の利用を推進する。天然骨材である川砂の違法乱掘を抑制することが狙い。生態環境の保護を強化する。毎日経済新聞が27日付で伝えた。
 国家発展改革委員会、自然資源部、工業和信息化部(工業情報化部)、生態環境部など政府関連15部門・単位はこのほど、「砂石業界の健全で秩序だった発展促進に関する指導意見」を公布。川・湖砂、海砂、人工砂、その他代替骨材の科学的利用に向けた各種措置を明確に打ち出した。川砂採掘業の総合管理・利用強化、海砂採掘・利用の秩序化、代替骨材の利用推進――などを盛り込んだ。
 中国の川砂価格は数年にわたり右肩上がりで上昇している。生態環境部の環境経済政策研究中心政策研究部によれば、例えば江西省・湖口県のトン当たり川砂価格は2015年の32人民元から18年の83人民元にまで159%も上昇。うち17年の1年間だけで前年比102%も急騰した。湖南省洞庭湖エリアの岳陽と益陽でも、16年の40人民元から足もとで180人民元に350%も値を上げている。
 この背景にあるのは、川砂供給量の激減だ。1959〜2007年にかけて、中国9大河川(長江、黄河、珠江、松花江、遼河、海河、淮河、銭塘江、ビン江)の川砂輸送量は500億トンも減った。1970年代との比較では、黄河が89%、長江が68%ずつ落ち込んだ。珠江でも、2000〜05年にかけた平均川砂輸送量がピーク時の半分に満たない水準にとどまっている。
 一方、川砂の需要は継続的に拡大。16年に180億トンだった中国の骨材需要は18年に200億トン(↑11.1%)に膨らむなど、需給矛盾が一段と進んだ。
 中国環境科学院環境生態科学研究所の何萍・研究員は、川砂価格のさらなる上昇を予測している。「川砂採掘が直接もたらす環境被害や生態系システム損失は現時点で商品コストに反映されていないが、環境保護意識の高まりにつれて、生態系や自然に対する価値は今後より高まっていく」と指摘。「中国の環境モラルの発展水準でみれば、砂石価格の上昇は自然資源が本来擁する価値を還元させることになる」と補足説明した。
 中国では川砂や山砂の違法採掘が社会問題として注目されてきた。陝西省西安市の秦嶺エリアでは、現地鉱山270カ所の60%に違法採掘行為が存在。合算で3500ヘクタールを超える生態環境が破壊され、水度流失などを招いている。また江西省に位置する中国最大の淡水湖であるハ陽湖は過去10年にわたる砂石の乱掘で、湖水の水位が著しく低下。長江に生息するスナメリ(江豚)を絶滅危機に追い込んだ。
 輸送過程の排ガス汚染も軽視できない問題となっている。中国の骨材輸送は7割超を道路輸送に占めるため。特に京津冀(北京・天津・河北)とその周辺エリア、および汾渭平原(汾河・渭河流域)といった重点大気汚染対策地域では、ほぼ全骨材がトラック輸送されている。
 ある試算によれば、中国の道路貨物輸送量に占める骨材量は足元で20%の比率。輸送過程で排出される窒素酸化物(NOx)は約800万トンに達し、中国の機動車(エンジン付き車両)排ガス量の14%を占めた。


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